有用物質をマイクロカプセル内に封入することにより、その物質を外部環境(酸素や光など)から保護できたり、液状物質を固体として扱えるなど、様々なメリットが生じます。マイクロカプセルの調製法としては、懸濁重合法や液中乾燥法など、エマルションを介したものが一般的に広く用いられています。これらのエマルションを介した方法では、カプセル調製中に有用物質がカプセルから漏れ出してしまい、有用物質をロスしてしまいます。
本研究室では、蓮の葉上の水が弾かれて球状になることをヒントに新たなカプセル調製法を開発しました。具体的には、カプセル壁材原料と有用物質を混ぜた溶液を撥液性平板上に滴下し、その弾かれた球状液滴をラジカル重合等により固化させることでカプセルを調製します。この方法では、液滴の固化中に有用物質がその液滴から漏れ出すことがないため、超高効率(ほぼ100%)で有用物質をカプセル内に包括することができます。また、包括効率が良いために、有用物質をカプセル中に超高含有化(>80%)させることも可能です。(本研究で使用している撥液性材料は、共同研究者である京都大学の中西先生、金森先生、東北大学の早瀬先生よりご提供頂いたものです)
本研究の新規バイオインスパイアードカプセル調製法. |
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(a) 撥液性材料上に滴下した有用物質を含むモノマー液滴. (b) (a)の液滴を熱重合により固化させたカプセル. (c) (b)のカプセルのSEM写真. |
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(1) Takei T., Terazono K. et al., Encapsulation of hydrophobic ingredients in hard resin capsules with ultrahigh efficiency using a superoleophobic material, Polymer Bulletin 73:409-417 (2016)
(2) Takei T., Araki K., Terazono K. et al., Highly efficient encapsulation of ingredients in poly(methyl methacrylate) capsules using a superoleophobic material, Polymers & Polymer Composites in press
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