吉田研究室では、社会のニーズに応えるべく化学工学的なアプローチを駆使し、以下の3つの柱で研究開発を進めております。
画像での研究概要はこちら
1. 新規機能性
マイクロカプセル
およびエマルションの開発
2. 鉛を含まない(
無鉛
)電子材料用接着剤の開発
3. 医療用バイオマテリアルの開発や癌発現の異常タンパク質の解析
1. 新規機能性
マイクロカプセル
およびエマルションの開発
マイクロカプセルとは、球体直径がマイクロサイズ程のきわめて微小な容器で、化学的または、物理的手法によってつくられます。一般にカプセルの中に閉じ込める物を「芯物質」といい、カプセルの表面を「カプセル壁材」と言います。芯物質をカプセル壁材によりカプセル化することで以下のような効果が得られます。
a. 形態改変…
液体などの内包物を固定して取り扱える
b. 隔離効果…
内包物の反応や混合を避けることができる
c. 保存効果…
内包物の保存期間を延ばすことができる
d. 保護効果…
内包物の不安定要素を安定化できる
e. 隠蔽効果…
毒性、臭気、香料などを隠蔽できる
f. 放出抑制…
内包物の放出を抑制および制御できる
当研究室では、過去に行ったものを含めて以下のカプセルおよびエマルション研究開発を行っています。
農業向けマイクロカプセル
・
土壌燻蒸剤内包マイクロカプセル
・殺虫剤内包マイクロカプセル
・昆虫フェロモン内包マイクロカプセル
水環境および土壌環境浄化用マイクロカプセル
・
脱窒細菌内包マイクロカプセル
・乳酸菌内包マイクロカプセル
・
サッチ分解菌内包マイクロカプセル
・
放射性セシウム濃縮微生物内包マイクロカプセル
・酵母固定化PVAゲルカプセル
インテリジェントマイクロカプセル
・
分子認識能を有するマイクロカプセル
・電場応答マイクロカプセル
・
自己修復機能マイクロカプセル
・
ケラチン組織再生のためのマイクロカプセル
・不斉還元能を有するマイクロカプセル
・
有機色素を内包するマイクロカプセル
・吸湿機能を有するマイクロカプセル
・塗料用マイクロカプセル(艶消し、防滑用)
エネルギー有効利用マイクロカプセル
・蓄熱剤を内包するマイクロカプセル
エマルション
・化粧品用の高安定性を有するエマルション
取得特許リスト
日本:特許第4723859号、特許第4757658号、特許第4297707、特許第4233567号
2. 鉛を含まない(
無鉛
)電子材料用接着剤の開発
現在市販の封着加工ガラスは、主組成が酸化鉛(PbO)の低温融解性を活かしたPbO-B2O3系 (鉛ガラス)が中心です。しかしながら、鉛は人体に摂取されると造血酵素障害、赤血球中に変性血球の増加、ヘモグロビンの減少、脳中枢を犯して痴呆症を生 ずるといわれており、その有毒性が問題となっています。さらに、封着・封止材として鉛ガラスを使用した電子部品が廃棄された場合、酸性雨により鉛が地下に 浸透し、土壌汚染、地下水汚染にもつながるためその有害性が問題視されています。このような社会的背景から、これまでの様々な電子部品に使用されている鉛 を含む封着加工ガラスと代替可能な無鉛封着加工ガラス(鉛フリーガラス)の開発が現在緊急の課題となっています。
本研究開発は電子デバイスの必須行程となっている封着・封止を行うための接着ガラス(封着加工ガラス)に関する研究開発です。封着加工用ガラスはエレクトロニクス産業を中心に用いられており、電子デバイスの様々な接合を行う上で極めて重要な材料です。その主な用途は、回路のハイブリッド接合、シリコン半導体、PDP(プラズマディスプレイパネル)基盤などの封着材として数多くの電子部品に適用されています。
封着加工ガラスに求められる特性
① 高い接着力を有すること
② 被封着材への熱影響を低減させる ために低融性であること
③ 封着面の強度を維持し被封着材料 と良好な封着加工を行うため、被 封着材料との熱膨張係数の差が小 さい(低熱膨張性)こと
これまでの研究成果として、その成果の一部は実用化されております。本技術は国内および国際特許を取得しています(
V2O5-ZnO-BaO-TeO2
およびV2O5-ZnO-BaO-P2O5系ガラス)。
本研究室の封着用ガラスが使用されているスマートフォン. Photo by Kārlis Dambrāns -
Samsung Galaxy S6 edge
/CC BY 2.0
取得特許リスト
日本:特許第3914245号、特許第42099021号
韓国:特許第10-0795068号
中国/香港:特許第Zl03826688.1号、特許HK1090910号
EU: EU特許1642871号
3. 医療用バイオマテリアル開発や癌発現の異常蛋白質解析
バイオマテリアルの開発に関しては、医療用の機能性ヒドロゲルの開発や生体の毛細血管網を模倣した流路ネットワーク構築に関する研究に取り組んでいます。
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癌発現の異常タンパク質の解析に関しての研究は、癌化する細胞のDNAにはメチル化が生じており、DNAメチル化により異常タンパク質が生成するといわれております。癌発現となる異常タンパク質の解析や異常タンパク質生成に伴う細胞内のCaイオン濃度の上昇を定量化あるいはイメージング化する研究を行っています。
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